ボルドー

フランスの中でもブルゴーニュと並ぶ高級ワインの産地、ボルドー
中でも格付されたグランヴァンたちは、ワインファンなら誰しもが憧れる銘酒群である。
ただし、その格付は1855年に取り決められたものである点には、要注意。
100年以上たった今では、まるで平家一門のように没落したシャトーも数多く存在している。

ボルドーのワインは、赤は左岸、右岸で主要ブドウ品種、土壌にくっきりと違いがあり、メドックを中心とした左岸はカベルネ種、ポムロル、サンテミリオンなどの右岸はメルロ種主体のワインが多い。

前述の格付は左岸のメドック地区のもので、この地区は厳格な歴史の遺物のおかげで、ある意味秩序正しく、ある意味古い体制に呪縛されているといもいえる。
しかし、過去の栄光にすがるだけでなく、五大シャトーをはじめとした、本物の銘酒が君臨する地区でもある。

一方右岸サンテミリオン地区には格付が存在する。
しかし、こちらは定期的に見直しがされており、無名の新進シャトーが明日のシンデレラを目指して、日々、研鑚している。ここ数年、醸造コンサルタントなる、ワイン界のフランケンシュタイン博士たちが、オーバーナイトサクセスを連発し、下克上な雰囲気が漂っている。
しかし、これらのシンデレラたちは登場から日が浅く、まだ「熟成してからの実力」を見せるまでの時を過ごしていないワインがほとんどである。
今から20年たってみたら、意外に対したことなかったというオチも考えられる。

ちょうど、本当のシンデレラが12時の鐘を聞いてただの灰かぶりに戻ったように、世間の熱も冷めるかもしれない。
逆に、同じ右岸でも、格付のないポムロルのほうが意外とシンデレラを送り出してこない気もする。体制のないところには、反体制も生まれないということだろうか。

いずれにしても、古典的なスタイルのボルドーのグランヴァンに関して言えば、最低でも10年、通常15年、気の長い人なら20年は待つべきだ。
ワインブーム全盛の頃に、90年代のシャトー・マルゴーをがんがん飲んだ、バブルな人よ、「あなたは、シャトー・マルゴーは飲んだけど、本物のシャトー・マルゴーは飲んでいないのだよ」。

だからと言って、ただのアペラシオン・ボルドーのワインを20年も置いておかないように。
それはまるで早朝にたけのこの若芽を掘りに行って、竹やぶで昼まで居眠りしてしまうようなものである。

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2011>>
フランケンとか下剋上とか好きなんですよね。
用語として。

フランケンはまた別途ブドウ品種ネタでも使ってます。


2014>>
2005ヴィンテージの良作評価で蔵出し価格が上がった後、一旦相場は落ち着いたかと思いましたが、ユーロ高だの、なんか失敗くさいアベノミクスだのなんだので、2014年現在、五大シャトーなんてもうとても一般人には手が出ません。

1997ヴィンテージのプリムールがズッコケた時なんて、市場価格イチキュッパでマルゴーもムートンも買えたなんて嘘みたいですね。

 

 

フランケン

 

リリース当初は3000円台でしたから、時を経て消費されてやっとここまで来たかと感慨深いです。いくらなんでもそこまで行くか気がしないでもありませんが。