マルベック

「マルベック」「コー」「オーセロワ」。

どの異名で呼ぶにしても短くてそれなりにキャッチー。
そして生まれるワインの名前も短くて「カオール」。

こんなに覚えやすいのに、まるでイナゴの大群のように、国内市場の赤ワインを食い尽くした、20世紀末の魔のワインブームを生き延びた奇跡のブドウである。

大昔には「黒ワイン」と呼ばれたというカオールのワインだが、今現在はそうでもない。

その肩透かしな感じが受けなかったのだろうか。

また、同じ南西地方(実際には結構離れているのだが)に頑なに黒い「マディラン」というワインがいたことも影響したのかもしれない。

なにしろ、マディランはワインブーム時に日本人が求めた「不必要な色の濃さ」「味なんてわかんないけどフルボディ」「いつ飲めるのかわからないくらい渋い」というとんでもない要素を兼ね備えていたのだ。
そう言えば、ワイン名だけでなくブドウ品種名もマルベック以上にキャッチーだっタナ。

だが不屈の闘士マルベックは、意表をついてニューワールドで反旗を翻した。

その地はアルゼンチン! 日本のワインブームでもてはやされたチリの隣国! 

そう「隣国」であってもアルゼンチンはチリではない。

「チリカベ」にご執心の日本人たちが「アルマル」などという造語を生み出すことはなかった。
そんな中途半端な反旗の翻し方もマニア心をくすぐる。

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2011>>
カオール……地味ですね。
たしかに地味だ。

 

 

これはいいですね! カオールのラベルがしっかりと描かれています。マニア向き(なんの)。