ポムロル~シンデレラの目覚めを許さない平和理論

ボルドー赤の銘醸地を分類整理するとしたら、まず最初のひと太刀は河の左岸、右岸という区切りで、誰しも文句はいうまい。左岸は当然メドック、グラーヴで、不変の厳然たる格付けに支配された、身分社会だ。

対する右岸を代表するのは、サンテミリオンとポムロルということになるだろう。そのうちサンテミリオンは、こちらも格付け社会。ただし、その格付けは定期的に見なおされており、その都度、新進勢力が台頭してくるなど、参院選のような様相を呈している。

さて、問題はポムロルだ。ボルドーの四大赤ワイン銘醸地の中で、格付けのないここは、まさに無法地帯。古くからフランス国内にとどまらず、世界中のワインを見てもトップクラスの高値で取引をされてきた、ペトリュスの存在は別格として、それ以外はフリーダム。歴史のある安定勢力はあるにはあるが、ル・パンのように、ペトリュスの地位に肉薄するかのような勢いを持つシンデレラが、突如現れる油断ならない地区なのだ。

しかし面白いことに、シンデレラブームのようなものがひと段落した今、あらためて見てみると、ル・パンを除けば、このアペラシオンの最上位に名を連ねているのは、意外にも歴史のあるシャトーがほとんどであることに気付く。

かつてサンテミリオンは、ヴァランドロー、テルトル・ロトブフといった、一夜明けたらのオーバーナイト・サクセスの実在を世界に知らしめた、シンデレラシャトーの一団を生み出した。そして彼らは今も、昇り詰めたその地位をある程度はキープし、旧勢力と肩を並べたまま、安定勢力の仲間入りを果たしている。

また左岸もマルゴーあたりでは、小規模なワイナリーが作るワインが、下位格付けのシャトーを超える高値を付けて、ガレージシャトーなどという言葉を広めた時期があった。

比べてポムロルは、こんなに自由に何かが起こせる条件を備えながら、地区全体を飲み込みかねない大きな変革の波というものが立ったことがない、不思議なアペラシオンなのではないだろうか。なぜだ。

押し寄せろ、ビッグウエンズデー!
叫べ、若き闘士の魂よ!


あれ?


へんじがない。ただのしかばねのようだ。


結局、体制のないところには反体制は生まれず、政府なきところに革命は起きないのだ、という、ある種の平和理論を想起せずにはいられない。

 

 

 

メドック

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グラーヴ。

 

サンテミリオン

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ポムロル。

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へんじがない。ただのしかばねのようだ。