ダウト! ~ 鉄槌トランプ

ワインブーム期に、異常気象下に大発生するムシのように、突如、世間にはびこったエセワイン通。

 

本来、「通」とは、その道に深く通じ、そして、礼節伴う美しき人々である。


しかし、「エセワイン通」の皆さんは
・ 歴史がない ので、昔の体験がない
・ 経験が浅い ので、広くて浅くて深くない
・ 深みがない ので、礼節をわきまえない
の「ないないづくしのないづくし」。

 

そういうわけで自称では「ワイン通」だが、他人様からは、
「ワイオタ(=ワインオタク)」
と呼ばれ、忌み嫌われる存在となってしまったのだ。

 

そして「ワイオタ」の皆さんは来る日も来る日もワインバーにお出かけ。
なぜレストランではないのかというと、
・ 一人で行ってもヘンじゃない
・ 料理を食べる代金までワインに注ぎ込める
・ カウンター席で話ができる
・ 毎日通って常連になれる
・ グラスワインで種類を楽しめる
などなど、そんなところが理由だろう。

 

当時、ワインバーのカウンターからは、ワイオタたちのうんちくに彩られた自慢話が、
まるで、針の跳んだレコードプレーヤーのように聞こえつづけてきたのである。

 


ワイオタA「この前さぁ久々にイケム飲むチャンスがあってさぁ」

ワイオタB「へぇ~。いいね。何年?」

ワイオタA「それが最近、たまたま試飲会で知り合ったシェフの店でね」

ワイオタB「あぁ~俺、最近、試飲会顔出すチャンスがないんだよねぇ」

ワイオタA「でさぁシェフと妙に気が合っちゃったせいか、サービスでグラス一杯、ね」

ワイオタB「ふぅん。サービスでイケムかよ。隅に置けないねぇ。で、何年?」

ワイオタA「その日たまたま誕生日だったんだ、俺の。で、バースデー年をね」

ワイオタB「すごいジャン。お前何年生まれだっけ?」

ワイオタA「72」

 

 

 

 

 

ダウト。

 

 

 


生産されてません。

 

 

ワイオタB「ふうん。いい熟成してるだろうけど、まだまだ若いね」

ワイオタA「まあね」

ワイオタB「5年前に飲んだ64でもまだ全然若かったもんなぁ」

 

 


ダウト。

そのヴィンテージも生産されてません。

 


ワイオタA「もったいない感じだけど、でもワインは飲んでこそ意味あるしさ」

ワイオタB「たしかに。そういや俺もこの前、ちょっと珍しいのをごちそうになったな」

ワイオタA「なんだい?」

ワイオタB「いや、お前と比べたらしれてるよ。イタリア人の友達んちでなんだけどね」

ワイオタA「え? お前イタリアンの友達なんていたんだ」

ワイオタB「うん。そいつがたまたまタスカンでさぁ」

ワイオタA「ほう。じゃあスーパーのいいヤツだね」

ワイオタB「うん。ボルドーがオフで飲めなくてもタスカンのカベルネはいい年さ」

ワイオタA「何の何年?」

ワイオタB「77オルネライア」

 

 


ダウト。
ファーストリリース以前のヴィンテージです。

 

 


ワイオタA「へぇ。そのヘンは正規じゃ無理だよねぇ」

ワイオタB「まあね。現地にツレのいる特権かな」

 

 

そのツレの存在もダウト。

 

 

ワイオタA「でもタスカンもいいけどやっぱ最後はフランスに帰ってきちゃうんだよね」

ワイオタB「そうだね。俺も原点はフランスかな」

ワイオタA「まあ、元々フランスから入ったせいもあるんだけどさ」

 

 

ダウト。
チリカベはフランスワインではありません。

 

 

ワイオタB「俺もそうだからな」

 


ダウト。

 


ワイオタA「結局、10年かけてフランス回帰する、それがワイン好きってものかもね」

 

 

ダウト。

あなたのワインブームは去年からです。

 


ワイオタB「最初に感動したワインもフランスだからね。原体験って怖いよ」

ワイオタA「俺は今考えりゃたいしたワインじゃないけど70のダルマヤックだったなぁ」

 


ダウト。

その頃ダルマヤックはムートン・バロン・フィリップでした。

 


ワイオタB「シブいねぇ。俺はブル白が原体験なんだよね」

ワイオタA「なに?」

ワイオタB「いや恥ずかしいんだけどさ、ルイ・ジャドのクロ・ヴジョの白」

 


ダウト。
モノポールです。

 

 

ワイオタA「へえ~。マニアックだねえ」

ワイオタB「まあ、昔は安かったからね」

ワイオタA「これからちょっといいワインはどんどん高くなってくんだろうなあ」

ワイオタB「誰も彼もがワインワイン、やってらんないねえ」

ワイオタA「そうだね。そっとしといて欲しいよね」

ワイオタB「でも、きっと高くなってもワインからは離れられないだろうなぁ」

ワイオタA「そうだな。俺も一生ワインとともに生きてくことになるんだろうなあ」

 

 

 

 

 

ダウト!

 

 

 


その発言、まるごと、ダウト。 


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2011>>
これも「VinetX」からもってきました。
なので2003年のネタですね。

「お笑いわいん時計屋」が1999年だと思うと、俺、四年も同じ事やってたんだなあと、感慨深いです。
(今も、な)

微妙な事実関係にやや今となっては自信がありませんが、(オルネライアのファーストヴィンテージって何年だっけ? とかそういうコト)まあ、当時のままで掲載しておきます。
おいおい調べなおすかもしれません。

まあ勢いがあったってことで。


2015>>
このやたらと空行入れたりする書き方は、もう今となってはやりたくないんですけど、これはネタに「溜め」が大事かなと思うので、このまま掲載しました。
あと、なんかタイトルの「鉄槌トランプ」っていうのも、サブカル出身感出てますね。ユメキュウ先生の影響もあります。

 

 

 

1930,51,52,64,72,74年が作られてないっぽいです。

 

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2010ヴィンテージが25周年ボトルでリリースされてます。

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バロンヌにもなる以前です。

 

レリティエ・ギュイヨ時代が懐かしいですね。