ブドウ品種(黒)

カベルネ・フラン

ボルドー地方においては脇役だが、ロワール地方ではブルトンと呼ばれ、最高級の赤ワイン用ブドウ。そもそも、サンセールのピノ・ノワールを除いて対抗品種がグロロやガメだったりするので、ほぼ不戦勝に近い趣がある。 基本的に、軽やかでフレッシュ、チャー…

ガメイ

ボージョレの主役。ロワールでも一部使用されるが、それはあくまで隠し味ていど……というか、隠れすぎていて知られていないだろう。 一般にワインに使用されるものは「ガメ・ノワール・ア・ジュ・ブラン」というのが正式名称で、「黒いガメだけど汁は白いよ」…

タナ

一部のヴァン・ド・ペイを別として「マディラン」のためだけに存在するブドウがこのタナである。そのあまりにも濃い濃い色調と、口の中の水分がすべてなくなりそうなタンニンからは果てしない熟成が予測される。そのわりに価格が安く、初めて手にした時には…

グルナッシュ

「グルナッシュ」。 本来はカリニャン、サンソーと三位一体、三本の矢状態のどうってことない南仏系ブドウ品種。 とある専門書などでは「果実味豊かでまろやかに仕上がる反面、酸味が少なくたちまち酸化する」という「それは特徴じゃなくて欠点だろ」とツッ…

マルベック

「マルベック」「コー」「オーセロワ」。 どの異名で呼ぶにしても短くてそれなりにキャッチー。そして生まれるワインの名前も短くて「カオール」。 こんなに覚えやすいのに、まるでイナゴの大群のように、国内市場の赤ワインを食い尽くした、20世紀末の魔の…

ムールヴェードル

「ムールヴェードル」。その異名は「死臭漂うゾンビブドウ」。 とにかくその生々しく漂う生き死にの狭間を思わせる獣臭は、不快感と恍惚感の表裏一体なる魔の領域に香り嗅ぐ者を連れ去ってしまう。 この手の香りには「動物質の香り」「アニマル香」「ミート…

ジンファンデル

「ジンファンデル」というブドウはその位置付けが難しい。 カリフォルニアではまかり間違えば、カベルネ・ソーヴィニヨンを飛び越してしまいそうな勢力を持ち、メルロとは確実に肩を並べる存在として君臨している。 そのわりには、一歩、その地を離れると、…

カルメネール

とっくに絶滅したと思われていた葡萄品種が20世紀に復活。まさに幻の葡萄品種! しかし、本当はチリでメルロだと思って栽培していた葡萄が、調べてみたら実はカルメネールだったということなので「復活」というのは違うかもしれない。 そもそも、復活を待た…

ピノタージュ

南アフリカの特産品「ピノタージュ」。 南アフリカでも高級ワインを作ろう! 多分、そんなノリで持ち込まれたピノ・ノワールがきっと、気候風土にあわなかったんでしょう。とりあえずそこであきらめずに品種を交配するという、最終手段に打って出たわけです…

マスカットベイリーA

日本独自に開発された交配品種「マスカットベイリーA」。ベリーAの愛称で親しまれるこの品種だが、なぜ「善兵衛」と名付けなかったのかが悔やまれる。 ドイツの交配品種としてナンバーワンの座に輝くミュラートゥルガウを見よ。1882年にヘルマン・ミュラート…

メルロ

ボルドー右岸の高級ワイン産地、サンテミリオンおよびポムロルの主力品種であり、かつ左岸地区でもカベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンドに大切な役割を果たす優秀なブドウ品種。 カベルネと比較して、アルコールのボリューム感、柔らかな口当たり、動物系の…