タナ

一部のヴァン・ド・ペイを別として「マディラン」のためだけに存在するブドウがこのタナである。
そのあまりにも濃い濃い色調と、口の中の水分がすべてなくなりそうなタンニンからは果てしない熟成が予測される。
そのわりに価格が安く、初めて手にした時には、芸術品のような味わいに熟成した古酒を二束三文で手に入れるという夢を抱かせる。
しかし、実際には古酒がまったくといっていいほど市場で発見できず、いつも手に入るのは「一体何年前にデカンタージュしておけばいいのか」と問いたいくらい若いワインなのだ。

少なくともその熟成のポテンシャルと、実際に入手できるワインの熟成度のバランスの悪さは特筆モノ。

間違いなく長期熟成するワインであり、飲み頃は少なくともブドウ収穫から10年後であろうと思わせる仕上がりでありながら、市場に出るスピードが以上に早いのがタナのワイン。

おそらく地酒の域を脱して輸出(輸出はおろかフランス国内のマディラン地区以外に出荷すること自体)に力を注ぐことになったのが最近なので製品を早く現金に換えて翌年の運転資金を手に入れなくてはならないのだろう。

まったく不当に早く出荷されることがタナの真髄である。

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2011>>
「飲み頃は50年後」らしいです。
アラン・ブリュモンさんから直接聞いたんで、ほんとです。
話半分に聞いても二十五年です。

2015>>
ブリュモンさん、15年前お会いした時の印象のままでいたら、すっかり、ツルッツルになっておらるようです。
時の流れってすごいですね。
そしてブリュモンさんがそんなふうに進化されている時間が費やされても、何の変化もない場所で昔の作品をこうして粛々とアップしてる自分になんだか「おつかれさん」といってやりたいです。

 

 

たしかにブリュモンさんのモンテュスは50年持つと思います。