甲州
日本を代表する白ブドウ「甲州」。
「ヴィニフェラ系に属する東洋系ヨーロッパ品種」という、アフリカの聞いたこともない国出身の素性の知れないマラソンランナーのような肩書きを持つが、立派な日本の在来種である。
過去、日本市場が受け入れた、ワインの味わいのタイプというのが「薄甘口」だったため、甲州から生まれるワインの旧来よりの主流はそのスタイルに準じたもの。
しかし、古くから作られる遅摘みの高級甘口ワインや、ワインブーム以降、薄甘口を凌駕する勢いの「辛口+樽+シュール・リー」の三種の神器を備えたタイプにもすばらしいワインは存在する。
ただ、最近流行りの後者のスタイルは、本当に美味しいものはシャルドネより高くなる、というウィークポイントを抱えている。
ところが財布に上限があるにも関わらず、消費者の嗜好は辛口流行り。
そのため、もっとも始末に終えない3桁~1000円台前半の辛口甲州が市場の主流となり、イマイチ評価が上がってこない。
本来の甲州ブドウのワインの個性を評価するなら、ほんのりと甘味を感じる薄甘口を対象にすべきであり、日本の生産者の技術力と在来品種を国際市場向けに作ろうという努力を評価するなら、3000円以上の辛口樽貯蔵のシュール・リー仕込みのモノを対象にすべきなのである。切に自国での正当な評価が与えられて欲しいワインである。
口に入れた瞬間にほんわかとしてしまえるようなそんな優しいワインは、世界中探しても(薄甘口の)甲州とマドンナくらいしかないというのに。
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2011>>
甲州の樽仕込シュル・リーのその努力は素晴らしいと思います。
ただ薄甘口でグリーングレイに輝く、あの優しい甲州が僕は好きです。
「甲州街道はもう秋なのさ」
2015>>
甲州種はヴィニフェラ系と野生種との交雑種。
そんなニュースが世間を賑わしましたが、まあ、ワインのことなんでその瞬間を別にして、世間はそれほど騒いでません。
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