ロゼ・ダンジュー~愛と追憶と薔薇色の日々

アンジューという地には、赤、白も産出する、まんまアンジューとかアンジュー・ほにゃららという一見この地の代表かと思わせられる名称のアペラシオンもあるにはあるのだが、それらはなかなかメインストリームには出てこない。

そりゃそうだ。
正攻法で行くということはライバルが多くなることを意味しているからだ。
そして残念ながらこの地の白や赤は、ワイン界におけるツール・ド・フランスの勝者ではない。
マイヨ・ジョーヌは遠くにありし、だ。

結局この地区でもっともその名を知られたアペラシオンは、アンジュー・ほにゃららなんぞではなく、思い切って呼称から倒置法で攻めてくるロゼ・ダンジューではなかろうか。

そのワインは個性的で、ほの甘い味わい、その甘みとバランスを取る北ならではの芯のある酸味が印象的。
淡いサーモンピンクの色合いは、飲む者をロマンチックな気分にさせてもくれる。
しかも甘いし。

こんなに特徴のあるワイン、そうそうあるもんじゃない。キャラが立てば主役の座はなんとかなるのだ。
しかも、ブドウ品種はグロロなんて一発芸もちゃんと用意されているのだから、他の追随を許すはずもない。

ただその甘さと、AOCワインの中でも飛び切りのリーズナブルさがクロスした結果、貼られるのが「初心者向き」というレッテルだ。
ある程度ワインを嗜んだ愛好家には、まったく見向きもされないワインとなってしまう。
その様は例えるならば、薔薇色のミュスカデであり、甘美なるボージョレといったところか。

「昔はあんなに愛してくれたのに」と、ロゼ・ダンジューは泣いてるぞ。

■回想はじまり■
「あなた、最近冷たいのね。わかってる。他に好きな人ができたのね」
「すまん。お前の味は忘れたわけじゃないんだ。だけど、俺は今……ウニ子に夢中なんだ」
「あんな子のどこがいいの。お金かかるばかりじゃない」
「の……濃厚なんだ……」(←エロい感じで)
「バカッ!」
(走り去る)
■回想おわり■

ちなみに同じ地区にはカベルネ種から生まれるカベルネ・ダンジューという、よく似たスタイルのロゼワインも存在するが、その差異はポップコーン正一と正二ほどのもの。

すべてにおいて、どっちでもいい感じの仕上がりだ。

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2015>>
ポップコーンのところはザ・たっちとか色々はまるので、双子さん募集中です。

 

 

ちょっと! ちょっと! ちょっと!!