ソアーヴェ・ボーイ

A:どうも~! どうも 『お笑いわいん時計屋』です~。
B:懐かしいなぁ。
B&A:お願いします~! ありがとうございます~。

 

A:あー! ありがとうございます~! ねっ、今ボージョレ・ヌーヴォーをいただきましたけどもね。
B&A:今頃ね。ありがとうございます~。
A:こんなん、なんぼあってもいいですからね。
B:一番いいですからね。
A:ねぇ~ありがたいですよ。ホントにね。
B:セラーに入れておきましょう。
A:ゆうとりますけどもね。

 

 


 

 

 

B:いきなりですけどね……うちのオカンがね、好きな白ワインがあるらしいんやけど。
A:あっ、そうなんや。
B:その名前をちょっと忘れたらしくてね。
A:好きなワインの名前忘れてもうて……どうなってんねん、それ。
B:で、まあ色々訊くんやけどな、全然分からへんねんな。
A:分からへんの? いや、ほな俺がね、オカンの好きな白ワインちょっと一緒に考えてあげるから、どんな特徴ゆうてたかってのを教えてみてよ。

B:あの~、フレッシュな味わいで、名前が覚えやすいヤツやってゆうねんな。
A:おー! ソアーヴェやないかい! その特徴はもう完全にソアーヴェやがな。
B:ソアーヴェなぁ……。
A:すぐ分かったやん! こんなんもう~。

 

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B:でもこれちょっと分からへんのやな。
A:何が分からへんのよ。
B:いや、俺もソアーヴェと思うてんけどな。
A:いや、そうやろ?。
B:オカンがゆうには死ぬ前の最期の一杯も、それでいいってゆうねんな。
A:あ~。ほなソアーヴェと違うかぁ~。人生の最期がソアーヴェでええ訳ないもんね。
B:そやねん。
A:ソアーヴェはね、まだ寿命に余裕があるから飲んでられんのよ、あれ。
B:そやねんな。
A:な? ソアーヴェ側もね、最期の一本に任命されたら荷が重いよ、あれ。
B:そやねん、そやねん。
A:ソアーヴェってそういうもんやから、ほなソアーヴェちゃうがなこれ。
B:そやねん。

 

A:あれ? ほな、もう一度詳しく教えてくれる?。
B:なんであんなにみんなすぐ、そのワインの名前を覚えられるかが分からんらしいねん。
A:ソアーヴェやないかい! ラベルに書いてる文字『S・O・A・V・E』そのまんまやから、あれ。でも俺はね、あれはアジアのお客さんのことも考えて勝負してるからやと睨んでんのよ。俺の目はだまされへんよ。俺、だましたら大したもんや。
B:まあねー。
A:ほんであれよぅ~見たらね、ついそのまんまローマ字みたいにソアベって読んでまうやろ? 初心者はほぼそう読んでまうんや、間違いない。「-」とかソのあとに入れる技術ないもん。でもそれでも通じんねん。ソアベで出てくんねん、ちゃんと。そうゆうもんやねん。俺は何でもお見通しやねんから、ソアーヴェや、そんなもんは。
B:分からへんねん、でも。
A:何が分からへんの。これで。

 

B:俺もソアーヴェと思うてんけどな。
A:そうやろ。
B:オカンがゆうには一人2万円のディナーのときに、超一流のリストランテで出てきても全然いいってゆうねんな。
A:ほなソアーヴェちゃうやないかい。一人2万円のディナーでソアーヴェ薦めてくるソムリエおったら、テーブルひっくり返すもんね。ソアーヴェはね~、リストランテやったらランチのグラスワインやから飲んでられんのやで。
B:そやねん、そやねん。
A:な? ランチは予算も抑えめやしな。そういうときはソアーヴェでもかまへんねん。
B:そやねん、そやねん。
A:そういうカラクリやからあれ。
B:そやねんな。
A:ソアーヴェちゃうがな~。ほな、もうちょっとなんかいってなかった?。
B:若い頃なぜかみんな憧れたらしいねん。
A:ソアーヴェやないかい! ソアベとキャンティとシャブリは憧れたんやから。なんならそれしか憧れられへんかったわ。ほかのワインの名前なんか、どれも呪文みたいに長いから覚えられへんし。あとシャンパンも憧れましたよ。ソアーヴェよ、そんなもん。
B:分からへねん、だから。
A:なんで分からへんの? これで。

 

B:俺もソアーヴェと思うてんけどな。
A:そうやろ。
B:オカンがゆうにはソムリエさんが、プライベートのときにも飲むことあるっていうねん。
A:ほなソアーヴェちゃうやないかい。プロのソムリエになってから、その腕を競うコンクールになかなかそんな基本のワイン出ぇへんのよ。ソムリエになってしもたら、プライベートで飲む理由がないのんよ。
B:せやねん
A:ソアーヴェはね、ソムリエを目指してる頃にプライベートで勉強のために飲むワインやねん。資格試験のテイスティングに出るかもしれんしな。
B:せやねんせやねん
A:あれ、普段飲んでないとね、なかなかブラインドで出題されとき、記憶の抽斗から出てこうへんねん、ソアーヴェのワインの名前は思い当たっても、品種の名前まで出てこうへんのよ。そうゆうブドウなんよ、ガルガーネガは。
B:せやねんせやねん

A:ソアーヴェちゃうがな、ほな~。ほな、もうちょっとなんかゆうてなかったか?。
B:飲み放題とかのメニューに入っとるらしいで。
A:ソアーヴェやないかい。ソアーヴェでもうギリギリやからな。店側がもう一段階飲み放題の白ワインのクラス下げようもんなら、俺は動くよホンマ。ソアーヴェや絶対。

 

B:分からへねん。でも。
A:なんで分からへんの。これで。
B:俺もソアーヴェと思うてんけどな。
A:そうやて。
B:オカンがゆうにはジャンルでいうたら、甘口やっていうねん。
A:ほぉな、ソアーヴェちゃうやないかい。ジャンルでゆうたらいわゆるソアーヴェは、甘口だけではないねん。あれな、甘口に仕立てたら、それはレチョート・ディ・ソアーヴェゆうて、ワインのジャンルでは別もんになってまうねん。
B:そやねん、そやねん。
A:ほなソアーヴェちゃうやないかい。ほな、もうちょっとなんかゆうてなかった?。

B:飲んでる時に、誰に自慢してええか分からんらしいねん。
A:ソアーヴェやないかい。「ソアーヴェ飲んだ~!」ゆうて、羨ましがってくれるワイン仲間の顔が浮かばへんのよね。浮かんでくるのは、ドヤ顔の初心者だけやねん。
B:そやねん、そやねん。
A:リストランテでワインリストの中に読めるワインの名前見つけてオーダーして、連れの女の子に「自分でワイン選んだ俺、カッコええやろ」いうてる若い男のドヤ顔だけ。ソアーヴェに決まり! そんなん。
B:でも分かれへんねん。
A:分からへんことない! オカンの好きな白ワインはソアーヴェ! もぉ。

 

B:でもオカンがゆうには、ソアーヴェではないってゆうねん。
A:ほなソアーヴェちゃうやないかい! オカンがソアーヴェではないとゆうんやから、ソアーヴェちゃうがな。
B:そやねん。
A:先ゆえよ! 俺が若者のドヤ顔マネしてる時、どう思っててんお前。
B:申し訳ないよ、だから。
A:ホンマに分からへんがな。これどうなってんねん……もう。

 

B:んで、オトンがゆうにはな。
A:オトン?。
B:ピコリットちゃうか?ってゆうねん。
A:いや、絶対ちゃうやろ。もうええわー。
B&A:ありがとうございましたー。