ヴィオニエ

ヴィオニエ」といえばコンドリュー。
本来はローヌ北部の一画で、面積は狭いが国民の団結力が高く、財政的にも裕福な独立小国家のような存在であった。

しかし、ここ数年の間に誰かが、ローヌ以外の南仏でこのブドウを植えてしまったからさあ大変。
そのアプリコットのような香りは瞬く間に世界を席巻し、気が付くと南半球にまで広がってしまうという、伝染病のような状態になってしまった。
特殊な存在のシャトー・グリエは別として、安価なヴィオニエが出回るようになってから、稀少価値を理由にタクシーの深夜料金のような割増価格で取引されていたコンドリューの立場は土俵際。

しかし、ブドウ自体の特徴を考えると「華やかすぎる芳香」「フルーティーでまろやかな口当たり」「ソフトな酸味」と、ミーハー人気に支えられ続けるミュスカとの大別が難しいブドウなので、一部の大物を除き、今の姿が本来の姿なのではないだろうか。
むしろなぜ、今までこんなに孤高の存在だったのかが不思議にすら思えてくる。

発売当初、異様に高価だった新機軸の電化製品が、普及するにつれて価格が下がっていくのと似たような道を歩みだしたのかもしれない。

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2011>>
とある雑誌のテイスティング企画に参加したときに、ヴァン・ド・ペイのヴイオニエを飲んで、「コンドリュー殺し」と命名してみましたが、かっこいいじゃあーりませんか。

 

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平田薫ー恐怖の“左殺し”』はこちらでお読みいただけます。