シンフォニー

「シンフォニー」というこの壮大かつ大仰なネーミング。
配品種にわかりやすくもたいそうな名前を付けるのは、ある種のお約束なのかもしれない。

しかしたとえばドイツのバフースのようなネーミング(酒神・バッカスの意味)と違い、英語で付けられると、日本人にはあまりにその意味が直球で伝わってくる。
マスカット香のある、ほの甘いジュースのようなワインに「交響曲」なんて付けられた上、その由来が「交響曲を奏でるような香りと味わいのバランス」とか言われても正直、ひくぞ。

そもそも、グルナッシュ・グリとマスカット・オブ・アレキサンドリアの交配という時点で、絶対に大物は生まれなさそうなテイストを感じさせてくれている。

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2011>>
まあそういうことです。
見かけないでしょ。

2015>>
なんでこんなブドウ、テーマに選んだんでしょうね???

 

 

2002年にこのモトネタ書いたときも、アイアンストーン・ヴィンヤーズのこのワイン見て作りましたね。

ヴィオニエ

ヴィオニエ」といえばコンドリュー。
本来はローヌ北部の一画で、面積は狭いが国民の団結力が高く、財政的にも裕福な独立小国家のような存在であった。

しかし、ここ数年の間に誰かが、ローヌ以外の南仏でこのブドウを植えてしまったからさあ大変。
そのアプリコットのような香りは瞬く間に世界を席巻し、気が付くと南半球にまで広がってしまうという、伝染病のような状態になってしまった。
特殊な存在のシャトー・グリエは別として、安価なヴィオニエが出回るようになってから、稀少価値を理由にタクシーの深夜料金のような割増価格で取引されていたコンドリューの立場は土俵際。

しかし、ブドウ自体の特徴を考えると「華やかすぎる芳香」「フルーティーでまろやかな口当たり」「ソフトな酸味」と、ミーハー人気に支えられ続けるミュスカとの大別が難しいブドウなので、一部の大物を除き、今の姿が本来の姿なのではないだろうか。
むしろなぜ、今までこんなに孤高の存在だったのかが不思議にすら思えてくる。

発売当初、異様に高価だった新機軸の電化製品が、普及するにつれて価格が下がっていくのと似たような道を歩みだしたのかもしれない。

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2011>>
とある雑誌のテイスティング企画に参加したときに、ヴァン・ド・ペイのヴイオニエを飲んで、「コンドリュー殺し」と命名してみましたが、かっこいいじゃあーりませんか。

 

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甲州

日本を代表する白ブドウ「甲州」。

「ヴィニフェラ系に属する東洋系ヨーロッパ品種」という、アフリカの聞いたこともない国出身の素性の知れないマラソンランナーのような肩書きを持つが、立派な日本の在来種である。

過去、日本市場が受け入れた、ワインの味わいのタイプというのが「薄甘口」だったため、甲州から生まれるワインの旧来よりの主流はそのスタイルに準じたもの。
しかし、古くから作られる遅摘みの高級甘口ワインや、ワインブーム以降、薄甘口を凌駕する勢いの「辛口+樽+シュール・リー」の三種の神器を備えたタイプにもすばらしいワインは存在する。

ただ、最近流行りの後者のスタイルは、本当に美味しいものはシャルドネより高くなる、というウィークポイントを抱えている。

ところが財布に上限があるにも関わらず、消費者の嗜好は辛口流行り。
そのため、もっとも始末に終えない3桁~1000円台前半の辛口甲州が市場の主流となり、イマイチ評価が上がってこない。

本来の甲州ブドウのワインの個性を評価するなら、ほんのりと甘味を感じる薄甘口を対象にすべきであり、日本の生産者の技術力と在来品種を国際市場向けに作ろうという努力を評価するなら、3000円以上の辛口樽貯蔵のシュール・リー仕込みのモノを対象にすべきなのである。切に自国での正当な評価が与えられて欲しいワインである。

口に入れた瞬間にほんわかとしてしまえるようなそんな優しいワインは、世界中探しても(薄甘口の)甲州とマドンナくらいしかないというのに。

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2011>>
甲州の樽仕込シュル・リーのその努力は素晴らしいと思います。
ただ薄甘口でグリーングレイに輝く、あの優しい甲州が僕は好きです。
甲州街道はもう秋なのさ」

2015>>
甲州種はヴィニフェラ系と野生種との交雑種。
そんなニュースが世間を賑わしましたが、まあ、ワインのことなんでその瞬間を別にして、世間はそれほど騒いでません。

 

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探偵ワインスクープ

ネットのワインサイト黎明期にお知り合いになった方のサイトで、特によく見ていたし、主宰の方ともネット上で交流があったサイトの現在を調べてみようと思いたちました。

きっかけになったのはこちらの記事。
http://plaza.rakuten.co.jp/szwine/diary/201509110000/

そうです、上京以前からネット上で交流させていただき、そして上京後は某ワイン雑誌でご一緒させていただいた方のブログが名称を変更されるという、この投稿でした。
なんというか隔世の感というんでしょうか。
年を取ったなあというか、われながら。

いまさらトケイヤの記事をまたまとめているのもあれですが、業界20周年、上京から15年。自身のワイン人生を振り返る、ひとつのタイミングなのかもしれません。

ぼちぼちと、当時の交流あった皆さんのサイトのその後を追跡調査(大げさですね)していけたらなあ、と思います。

ナイトスクープ」みたいなもんですかね。

 

 

今や関西圏在住でなくてもわかると思うけどモトネタです。

ガルガーネガ

名前のインパクトは強いが味のインパクトは薄い「ガルガーネガ」。
しかしなんと言ってもあの「ソアーヴェ」の原料である。
日本では古来より親しまれてきたはずのブドウだと言ってよい。

だが実際のところ親しまれてきたのは当時「ソアベ」と表記された飲みやすい白ワインであって、怪獣の咆哮のような「ガルガーネガ」というブドウ品種ではない。

そもそも、「ソアベ」がウケたのも「ガーヴィより言いやすい」とか「オルヴィエートより名前が短い」とかそんな理由に間違いない。当然「コッリ・オリエンタール・デル・フリウーリ」なんか相手にもしなかったことだろう。

そんなガルガーネガの「らしさ」はどこにあるのか。かすかなアーモンドのような芳香であるとか、水のようにさらりと流れる口当たりであるとか、潮を感じるようなミネラル分だとかいろいろと言いたいむきもあるだろう。

だがここで断言させていただけるならそんなもの「コルテーゼ」だって「トレッビアーノ」だって「ピノ・グリージョ」だって持っている特徴だ。

結局のところ、イタリアの古式ゆかしい白ワインはオケラとミミズとアメンボ。みんなみんな同じ血が流れているのである。イタリアの白ワインを飲んで感動した思いのある人は、その銘柄を思い出してみて欲しい。

妙にキャッチーな単語名がワイン名になってませんでしたか?
IGTって書いてませんでしたか?
シャルドネって書いてませんでしたか?
思わず「ブルゴーニュのいい白みたいだ」って思いませんでしたか?

ガルガーネガはじめ、イタリアの白ワインに世界と歴史が求めてきたのは、人を感動させることではなく、喉を潤すという至極シンプルな飲み物としての魅力だったのではなかろうか。

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2011>>
ピエロパンとかルガーテとかいろいろしっかりしたガルガーネガもいますね。

アンセルミはソアーヴェじゃなくなってしまいましたが、そこにこそ進化する醸造技術や栽培技術と、その地の伝統との兼ね合い
という問題の本質があると思います。いいワインを作ろうと努力すると、伝統的に軽いスタイルのワインの産地では、それが「本来の○○らしくない」といわてしまうのです。

さらにいわれるだけではなく、そこにはフランスであれば、AOC名を名乗れない、イタリアであればDOC(G)の認可が下りない、そんな事態が発生します。

『いいワイン=白はシャルドネ』ではないと思いますが、豊かな芳香で独自の道を進むことのできるような品種でない限り、コクを樽で出そうともするでしょう、過熟させることでボディを与えようともするでしょう。
ロワールでもおなじようなことが起きていますが、伝統と技術の問題はワイン界においても考えるべき問題ではあります。

で、結局のところ、テロワールってなんですか?

 

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ピエロパン初めて飲んだときは驚きましたね~。関西出身なので、最初の衝撃ソアーヴエ体験はこれでした。

 

これは営業担当さんに教えてもらって感激したソアーヴエの作り手さんです。

 

アンセルミ。もうソアーヴェじゃないんですね。

ピノ・ブラン

カリフォルニアではシャルドネを模倣したスタイルで、ぐいぐいと頭角を現し、気がつくと本場のブルゴーニュ・ブランより高い「カリフォルニア・ピノ・ブラン」が誕生するという収拾のつかない事態に。
しかし、そもそもなぜこんな地味なブドウがそんなところまで上り詰めたのだろう。考えられる要因として「特徴がないこと」が挙げられるのではないか。

そもそも、シャルドネ自体が元々の生のままの状態ではあまりにも素直。だからこそ「いじりまくれる」という特徴のなさを特徴に「醸造家のおもちゃ」として白ワインの王様の座に輝いたのだ。
ピノ・ブランの特徴のなさを考えれば、その道を後追いするのはあまりにも容易。

その座に輝いたのが決してゲヴュルツトラミネールでなかったのもよくわかる。ガルガーネガでもよかった気はしますが。

そして時代は醸造学、科学力がさらに発展した21世紀に入り、ピノ・ブランは素直でフレッシュな本来の姿をキ○ガ○科学者にいじりまくられることで「新世紀のフランケンシュタイン」として大活躍の予感。

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2011>>
すいません。
そんなに活躍してませんね。
フランケンシュタインネタの出どころはここです。

 

 

一回ちゃんと読んだほうがいいですね。ネタにしてる以上。

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きっとこんなオトボケじゃないでしょう。

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なんだこりゃ。

ジャケール&アルテッセ

「ジャケール」と「アルテッセ」。
それはまさに「サヴォワのルーサンヌ、マルサンヌ」とでも呼ぶべきタッグブドウ。
その地におけるこの組み合わせの定番度合は、フランスブドウ史上、本当にエルミタージュ・ブランに次ぐものかもしれない。

しかし、生み出すワインが「ヴァン・ド・サヴォワ」なので、けっして表舞台に上がれることはありえない。
まかり間違って妙に気合を入れた生産者が「ア・ビームで樹齢100年」とか「アプルモンでヴァンダンジュ・タルディブ」とかやったとしてもダメだろう。

そもそもが「サヴォワのルーサンヌ、マルサンヌ」と言われるあたりで、特産の品の名を冠した地方限定の「ミスなんとか」みたいな「井の中の蛙」感を漂わせているのだから。

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2011>>
井の中の蛙

この表現に、「高校野球における九州のバース」というのをよく使ってましたが、2005年に書き換えたみたいです。
(あ、俺がね)
「地方限定のミスなんとか」いいんじゃないでしょうか。

2015>>
今さらしみじみ思うのですが、ジャケール&アルテッセでネタを書ける自分のポテンシャルには、ちょっと驚きました。
客観的な視点って大事ですね。

 

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アビームってなんか心の琴線に触れませんか。「ビーム」ってところ。子どもの頃に見たアニメのロボットの目からビーーーーーッ! って出るやつみたいで。男の子だからですかね。あと、目からビームの出るロボットって時点で、ビフォア・ガンダムな感じで世代がバレますね。