フクセルレーベ

「フクセルレーベ」は1927年、シャスラとクルティリエ・ムスケの交配によって誕生したドイツの交配品種。
ただでさえ、大物を配合しないドイツの交配品種の中でも、燦然と輝くような、小物感漂う配合がいとおしさを感じさせる。

ジャンシス女史の解説本によると「この交配品種は莫大な量の並みのワインを造ることができ、事実あまりに莫大過ぎるため、このブドウの樹は枝の重みによってつぶれることがある」と記されていて感慨深いものがある。

自然界に存在しながら、自重でつぶれてしまうとはいかがなものか。
「枝が折れる」のではなく「樹がつぶれる」という表現は、どこまで鵜呑みにしていいのだろうか。

しかし、この品種が人工的な交配によって生まれたことを考えると、これはもしかして「フクセルレーベ」による人間への警鐘なのではないか。

「俺たち、ブドウは自然の生き物。人間が栽培しやすいとかなんとかで、勝手にいじりまくるからこんなことになるんだ!」という自らの命を張った「フクセルレーベの声」が聞こえてくるような気がする。

いつかこの声が人間たちに届く日が来るのを信じて、今日も「フクセルレーベ」は自らの体をつぶし続けているのだ。
その姿はまさに「マイナーブドウ界のガンジー」である。

そして、その声は21世紀をむかえた人類に届いたのだろうか?

その答えは同書のこのブドウを解説した項目の最後の一文を借りることで、答えとさせていただきたい。

「ドイツではほぼプファルツとラインヘッセンだけで栽培されているが、ゆっくりと地盤を失っている」

人はゆっくりと自然の反旗を葬り去ろうとしている。

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2011>>
視点がクールですね。
しかしなんでこのブドウ品種を取り上げたのかは今もって思い出せません。

 

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アラビアのロレンスガンジー』 なぜこの組み合わせなんでしょうか???

ミュスカデ

ロワール河下流でもっとも有名なブドウ「ミュスカデ」。
その起源はブルゴーニュにあるという。

現在ロワールで生まれるミュスカデワインは、さらりとした口当たりと、シャープな酸味がかもし出す軽やかな全体像が語られている。
しかし、このブドウのワインの特徴的な作り方であるシュル・リーはツッコミどころ満載。とりあえず「そこまで無理しなくても、みんながミュスカデに求めてるのはコクやボディじゃないってば」の一言で切り返そう。

もちろん「V.V.」なんてのも「なんのために」と問いたいが、これはたまたま昔植えた樹が畑にあったということなのだろう。

一時「シャブリはメジャー過ぎて注文するのが気恥ずかしい」という空気が日本のレストランに漂いだした頃、「生ガキに本当に合うのはミュスカデだぜ」とばかりに、通ぶったゲストたちが好んだが、「いいシャブリ」は本当にいいので、「いいミュスカデ」ごときでは生ガキのお供をする時はともかく、シャブリ人気に対抗できるわけはなかった。

そんなポジションなので無論、ブルゴーニュではすでに過去の遺物となっている。
ムロン・ド・ブルゴーニュ。

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2011>>
ミュスカデに偏見はないけど飲む機会が少ないのも事実。

 

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ちなみに当時のファンが桃子さんに求めていたのも、ラ・ムーとかロックじゃなかったです。あれは一体なんだったんだろう感は、今になって振り返るとMINAKO with WILD CATSの比ではないですね。ただベスト盤にちゃっかり入ってるところを見ると、黒歴史でもないようです。まあ、なんとなくあの歌覚えてますし、別に悪い曲でもないですしね。懐かしい思い出としてご本人の中にも生きているのかもしれません。

シンフォニー

「シンフォニー」というこの壮大かつ大仰なネーミング。
配品種にわかりやすくもたいそうな名前を付けるのは、ある種のお約束なのかもしれない。

しかしたとえばドイツのバフースのようなネーミング(酒神・バッカスの意味)と違い、英語で付けられると、日本人にはあまりにその意味が直球で伝わってくる。
マスカット香のある、ほの甘いジュースのようなワインに「交響曲」なんて付けられた上、その由来が「交響曲を奏でるような香りと味わいのバランス」とか言われても正直、ひくぞ。

そもそも、グルナッシュ・グリとマスカット・オブ・アレキサンドリアの交配という時点で、絶対に大物は生まれなさそうなテイストを感じさせてくれている。

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2011>>
まあそういうことです。
見かけないでしょ。

2015>>
なんでこんなブドウ、テーマに選んだんでしょうね???

 

 

2002年にこのモトネタ書いたときも、アイアンストーン・ヴィンヤーズのこのワイン見て作りましたね。

ヴィオニエ

ヴィオニエ」といえばコンドリュー。
本来はローヌ北部の一画で、面積は狭いが国民の団結力が高く、財政的にも裕福な独立小国家のような存在であった。

しかし、ここ数年の間に誰かが、ローヌ以外の南仏でこのブドウを植えてしまったからさあ大変。
そのアプリコットのような香りは瞬く間に世界を席巻し、気が付くと南半球にまで広がってしまうという、伝染病のような状態になってしまった。
特殊な存在のシャトー・グリエは別として、安価なヴィオニエが出回るようになってから、稀少価値を理由にタクシーの深夜料金のような割増価格で取引されていたコンドリューの立場は土俵際。

しかし、ブドウ自体の特徴を考えると「華やかすぎる芳香」「フルーティーでまろやかな口当たり」「ソフトな酸味」と、ミーハー人気に支えられ続けるミュスカとの大別が難しいブドウなので、一部の大物を除き、今の姿が本来の姿なのではないだろうか。
むしろなぜ、今までこんなに孤高の存在だったのかが不思議にすら思えてくる。

発売当初、異様に高価だった新機軸の電化製品が、普及するにつれて価格が下がっていくのと似たような道を歩みだしたのかもしれない。

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2011>>
とある雑誌のテイスティング企画に参加したときに、ヴァン・ド・ペイのヴイオニエを飲んで、「コンドリュー殺し」と命名してみましたが、かっこいいじゃあーりませんか。

 

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甲州

日本を代表する白ブドウ「甲州」。

「ヴィニフェラ系に属する東洋系ヨーロッパ品種」という、アフリカの聞いたこともない国出身の素性の知れないマラソンランナーのような肩書きを持つが、立派な日本の在来種である。

過去、日本市場が受け入れた、ワインの味わいのタイプというのが「薄甘口」だったため、甲州から生まれるワインの旧来よりの主流はそのスタイルに準じたもの。
しかし、古くから作られる遅摘みの高級甘口ワインや、ワインブーム以降、薄甘口を凌駕する勢いの「辛口+樽+シュール・リー」の三種の神器を備えたタイプにもすばらしいワインは存在する。

ただ、最近流行りの後者のスタイルは、本当に美味しいものはシャルドネより高くなる、というウィークポイントを抱えている。

ところが財布に上限があるにも関わらず、消費者の嗜好は辛口流行り。
そのため、もっとも始末に終えない3桁~1000円台前半の辛口甲州が市場の主流となり、イマイチ評価が上がってこない。

本来の甲州ブドウのワインの個性を評価するなら、ほんのりと甘味を感じる薄甘口を対象にすべきであり、日本の生産者の技術力と在来品種を国際市場向けに作ろうという努力を評価するなら、3000円以上の辛口樽貯蔵のシュール・リー仕込みのモノを対象にすべきなのである。切に自国での正当な評価が与えられて欲しいワインである。

口に入れた瞬間にほんわかとしてしまえるようなそんな優しいワインは、世界中探しても(薄甘口の)甲州とマドンナくらいしかないというのに。

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2011>>
甲州の樽仕込シュル・リーのその努力は素晴らしいと思います。
ただ薄甘口でグリーングレイに輝く、あの優しい甲州が僕は好きです。
甲州街道はもう秋なのさ」

2015>>
甲州種はヴィニフェラ系と野生種との交雑種。
そんなニュースが世間を賑わしましたが、まあ、ワインのことなんでその瞬間を別にして、世間はそれほど騒いでません。

 

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甲州街道はもう秋なのさ」はこちらでお聴きいただけます。

探偵ワインスクープ

ネットのワインサイト黎明期にお知り合いになった方のサイトで、特によく見ていたし、主宰の方ともネット上で交流があったサイトの現在を調べてみようと思いたちました。

きっかけになったのはこちらの記事。
http://plaza.rakuten.co.jp/szwine/diary/201509110000/

そうです、上京以前からネット上で交流させていただき、そして上京後は某ワイン雑誌でご一緒させていただいた方のブログが名称を変更されるという、この投稿でした。
なんというか隔世の感というんでしょうか。
年を取ったなあというか、われながら。

いまさらトケイヤの記事をまたまとめているのもあれですが、業界20周年、上京から15年。自身のワイン人生を振り返る、ひとつのタイミングなのかもしれません。

ぼちぼちと、当時の交流あった皆さんのサイトのその後を追跡調査(大げさですね)していけたらなあ、と思います。

ナイトスクープ」みたいなもんですかね。

 

 

今や関西圏在住でなくてもわかると思うけどモトネタです。

ガルガーネガ

名前のインパクトは強いが味のインパクトは薄い「ガルガーネガ」。
しかしなんと言ってもあの「ソアーヴェ」の原料である。
日本では古来より親しまれてきたはずのブドウだと言ってよい。

だが実際のところ親しまれてきたのは当時「ソアベ」と表記された飲みやすい白ワインであって、怪獣の咆哮のような「ガルガーネガ」というブドウ品種ではない。

そもそも、「ソアベ」がウケたのも「ガーヴィより言いやすい」とか「オルヴィエートより名前が短い」とかそんな理由に間違いない。当然「コッリ・オリエンタール・デル・フリウーリ」なんか相手にもしなかったことだろう。

そんなガルガーネガの「らしさ」はどこにあるのか。かすかなアーモンドのような芳香であるとか、水のようにさらりと流れる口当たりであるとか、潮を感じるようなミネラル分だとかいろいろと言いたいむきもあるだろう。

だがここで断言させていただけるならそんなもの「コルテーゼ」だって「トレッビアーノ」だって「ピノ・グリージョ」だって持っている特徴だ。

結局のところ、イタリアの古式ゆかしい白ワインはオケラとミミズとアメンボ。みんなみんな同じ血が流れているのである。イタリアの白ワインを飲んで感動した思いのある人は、その銘柄を思い出してみて欲しい。

妙にキャッチーな単語名がワイン名になってませんでしたか?
IGTって書いてませんでしたか?
シャルドネって書いてませんでしたか?
思わず「ブルゴーニュのいい白みたいだ」って思いませんでしたか?

ガルガーネガはじめ、イタリアの白ワインに世界と歴史が求めてきたのは、人を感動させることではなく、喉を潤すという至極シンプルな飲み物としての魅力だったのではなかろうか。

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2011>>
ピエロパンとかルガーテとかいろいろしっかりしたガルガーネガもいますね。

アンセルミはソアーヴェじゃなくなってしまいましたが、そこにこそ進化する醸造技術や栽培技術と、その地の伝統との兼ね合い
という問題の本質があると思います。いいワインを作ろうと努力すると、伝統的に軽いスタイルのワインの産地では、それが「本来の○○らしくない」といわてしまうのです。

さらにいわれるだけではなく、そこにはフランスであれば、AOC名を名乗れない、イタリアであればDOC(G)の認可が下りない、そんな事態が発生します。

『いいワイン=白はシャルドネ』ではないと思いますが、豊かな芳香で独自の道を進むことのできるような品種でない限り、コクを樽で出そうともするでしょう、過熟させることでボディを与えようともするでしょう。
ロワールでもおなじようなことが起きていますが、伝統と技術の問題はワイン界においても考えるべき問題ではあります。

で、結局のところ、テロワールってなんですか?

 

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ピエロパン初めて飲んだときは驚きましたね~。関西出身なので、最初の衝撃ソアーヴエ体験はこれでした。

 

これは営業担当さんに教えてもらって感激したソアーヴエの作り手さんです。

 

アンセルミ。もうソアーヴェじゃないんですね。