【シ】自然派ワイン
(※この記事は2014年執筆)
自然派、自然派、自然派、自然派。
こんなにこの言葉が浸透したのはいつ頃からなのか。
別にもともと農薬を使わないように意識したり、化学肥料ではなく牛糞を使ってたり、時にはちょっと行き過ぎて月の満ち欠けに合わせて収穫しちゃったりしてた作り手はゴマンといたはず。
それがいつの間にか、自然派専門のインポーターが出来てたり、自然派専門のビストロが出来てたりと大盛況。
作り手がみずからの畑の環境に、無農薬だの有機肥料栽培だのを選ぶのは方向性として自然だと思うし、インポーターや飲食店が、会社の、店の特色を出すため、自然派ワインをフィーチャーするのも理解の範疇。
ただ飲み手が、自然派ありきみたいな風潮になっていくのは、どうかと思う。
世界中には美味しいワインがそれこそ山のようにあり、そのいくつかは完全有機栽培やヴィオデナミではなくとも、酸化防止剤の使用量を最小限に抑えたり、農薬を制限したりしているのに、自然派でないワインには最初から手を出さないというスタンスでは、素晴らしいあのワインやあのワインとは一生出逢えないことになる。
そもそも、あらゆるワインを飲んだ上で、自分の好みは自然派だったというのが、それこそ自然な帰結ではなかろうか。
好んで飲むワインはノンフィルタなのに、選ぶときには自然派というフィルタをかけまくっているという、その姿勢はまったくもって理解の範疇外。
ちなみにいつかこんなネタやったなあと思っていたのだが、1999年の時点ではこのネタは「【ア】亜硫酸無添加ワイン」なんて用語に集約されていた。
時代の流れを感じる。